
大阪湾と大阪魚食文化、その第四回は大阪府「阪南市」。瀬戸内における牡蠣養殖が夏季の高水温や低貧酸素による餌不足などで養殖が難しくなり、加えて近年の養殖カキ大量死問題などで大阪湾での牡蠣養殖が大きな注目を集めています。中でも阪南市の「波有手(ぼうで)」の牡蠣はその品質の良さでブランド化が進められています。今回は牡蠣だけでなく、大阪湾が誇る貝類の宝庫であり海業の旗手ともなっている阪南市にスポットをあてての試食勉強会です。

勉強会の最初は阪南市の街の魅力についてのお話を「まちの活力創造課」の枇榔氏より説明がなされました。阪南市の食材を含めた多彩な魅力を四季を通じて紹介。

続いて、阪南市の人気スポットの牡蠣小屋を経営する(株)漁師鮮度代表取締役でもある岩井克巳氏より、大阪湾の現状と今後について解説。それを踏まえての何故?波有手(ぼうで)の牡蠣であったのか、そして魅力とは?についての説明がなされました。



勉強会に続いては、いよいよ阪南市の食材を使っての試食会。今回は阪南市のブランド牡蠣に加えて阪南市が誇る貝類の中から天然の「赤貝」、さらには冬の大阪湾の魅力食材ともされている赤舌鮃などが料理されました。今回の調理にあたっては大阪料理会から北区天満の「懐石 雲鶴」の島村料理長が阪南市の牡蠣を、そして和泉佐野の古民家で郷土料理等を提供している佐野料理長が同市の赤貝と赤舌鰈などを担当。牡蠣料理は、牡蠣食文化が豊かな大阪における料理として「牡蠣真薯の椀物」と「牡蠣の田楽黄金焼」が供されました。





今回の試食では阪南市の海と里山の食材を使ったものを、先付からデザートまで8品ほどを味わいました。中でも牡蠣と生クリームによるデザートは非常に人気が高く「牡蠣がでデザートになるとは驚いた」という声が多く聞かれました。
さて、試食の後は大阪地魚の研究家でもある太田氏による「大阪湾と貝類」そして底引き漁の源流である大阪湾の網漁についての解説がなされました。




さらにその後には、大阪府観光局より最新の大阪泉州地区などイベント観光情報に加えて、大阪府下における各市町村の観光資源にまつわる情報提供もなされました。また恒例となっている、即売会では、阪南市の「生海苔」「生若布」の即売会も定例会終了後に行われ多くの参加者を列を作り購入しました。
『阪南市の食文化』
阪南市は昔から半農半漁を主としており、昭和に入ってからもそうした村がまだ多くあった。江戸初期の全国物産案内の中に、阪南地域の「鳥取通(とっとりとおし)」が記されている。これは竹製の農具のことで、当時より稲作を中心にこの地域における農業が先進革新的であったことがうかがえる。明治に入ってからの阪南町域といえば甘蔗(さとうきび)の栽培と砂糖の製造で知られ、明治十年に行われた第一回内国勧業博覧会には同地の砂糖が出品されていて、優れた品質から高価な砂糖として流通していたことが分かる。農業作物しては水稲だけでなく園芸作物も栽培され、また松茸の産出では特に有名であったことが市史に書かれている。昭和の30年代には野菜そして果樹が増加。野菜では玉ネギを筆頭にジャガイモにキャベツ、トマト、フキが多く作られ、また果樹では阪南市小川のミカン園やナシなどの栽培が広く行われていた。阪南市では認定農業者を中心に特産の里芋、水ナス、キャベツ、青ネギ等の軟弱野菜など多岐にわたる農産物が今も生産され、大消費地を抱えた都市近郊としての特性を生かした農業が展開されている。漁業においても今回の牡蠣養殖への取り組みに留まらず、牡蠣小屋等の観光事業への展開がなされている。さらに、阪南市には、尾崎港・西鳥取漁港・下荘港港があり多種多様な魚介が水揚げされ、海苔やワカメの養殖も盛ん。特に尾崎漁業協同組合では「尾崎のさわら」のブランド化に注力。今後の展開が期待されている。
