定例会 大阪湾と大阪魚食文化③「大阪市」

古代のことになりますが、大阪市と呼ばれる地域の大部分は海でした。やがて淀川から運ばれる土砂が堆積して現在の大阪市が形づくられてきましたが、人口の増加と共に、大規模な新田開発も行われてきました。商業都市として栄える大阪市の人口はその後も増え続け、こうした人口を賄うための食糧供給地となったのが大阪湾と淀川河口域に近い漁村と、市内周辺の村々だったのです。大阪市の一次産業の最大の特徴。それは市そのものが大きな消費地であるということ。また、淀川ならびに前浜とも呼ばれた大阪湾で獲れる魚介類は脂の乗りや魚影の濃さから「魚庭(なにわ)」とも呼ばれてブランド化されていました。今回の定例会では、そうした大阪湾と淀川河口域の現状ならびに、大阪市産の農産物を学び味わう試食会となりました。

定例会の冒頭、大阪市漁協の畑中氏は「大阪市漁業協同組合では、「淀川河口域を考える会」の活動等を通じて、淀川の生態系の維持と淀川のポテンシャルの発信を行い、淀川のイメージアップに取り組んでいること。さらには多面的機能発揮対策事業とともに、淀川産のしシジミやハゼ、天然ウナギなど川の恵みと、大阪市内で栽培されるなにわの伝統野菜をはじめとした市内産農水産物とのコラボレーションを合わせて発信することで、市内産農水産物のイメージアップにつなげていきたい」との発言を踏まえて、淀川河口域における干潟再生活動の全容や、海遊館等と連携した海老江干潟における石干見(いしひび)漁体験を通じての活動報告などが行われました。

また、大阪市漁協としての水産物の紹介として、秋の天然鰻や彼岸の鯊(ハゼ)や九條シジミが紹介され参加者が試食。今回の定例会では北新地の割烹店の坂本料理長や、泉佐野の郷土料理研究家でもある佐野料理長が調理にあたりました。

先付けとして、「淀川天然青鰻のうざく」そして椀物としては「淀川河口域の彼岸ハゼ出汁 大阪黒菜椀」。

酢ノ物としては、季節の里芋と淀川河口域の鯔(ボラ)と鯊を合わせた江戸時代の名物料理「いも鱠(なます)」が披露されました。これは下茹でし味を含ませた里芋の上に白身魚を寿司のようにのせ、上から土佐酢のような旨酢をかけたもの。

焼き物には「淀川河口域の天然鰻による源平焼き。蒲焼きと白焼きの鰻を源氏と平家の赤白に演出した料理に、鰻巻きが添えられています。この後は大阪の古い郷土料理ともいえる「鰻茶」が御飯物として供されました。

試食勉強会の後半には、大阪府下で行われている様々な市町村のイベント情報提供が観光局より行われ、また定例会の次回に予定されている阪南市よりも、その予告が紹介されました。

<定例会:イチ押し販売商品>

淀川河口域のハゼだし パック   

東北では高級品とされ正月の雑煮椀に欠かせない「ハゼだし」。大阪市漁協では大ぶりなハゼを炭火で焼き天日で干した鯊をそのままに、簡単に家庭で使えるハゼ出汁パックにしました。当日は50パックが用意され完売しました。 常時販売は、大阪長居スタジアムの直売ショップなどで取扱中。